腎臓は、私たちの体の中で毎日休むことなく働いている大切な臓器です。
血液をろ過して尿をつくり、体内の余分な水分や不要なものを排出するだけでなく、体内の水分や電解質のバランス、血圧、赤血球をつくる働きなどにも関わっています。
腎臓の状態を知るためには、健康診断などで行われる尿検査や血液検査に加えて、必要に応じて超音波検査(エコー)、CT、MRIなどの画像検査が行われます。
この記事では、腎臓の基本的なしくみや働き、腎臓の状態を調べる主な検査、日常生活で腎臓の健康を守るために心がけたいことについて、わかりやすく解説します。
腎臓はどこにある?基本的なしくみ
腎臓は、そら豆のような形をした臓器で、左右に1つずつあります。
お腹の中でも背中側に近い位置にあり、肋骨の下あたりに左右の腎臓があります。
腎臓の内部では、血液から不要なものや余分な水分などを取り除き、尿をつくっています。
腎臓でつくられた尿は、腎盂(じんう)に集められ、尿管を通って膀胱へ運ばれます。
腎臓は「尿をつくる臓器」というイメージが強いかもしれませんが、実際にはそれだけではありません。
腎臓にはどんな働きがある?
腎臓には、体の状態を一定に保つためのさまざまな働きがあります。
血液をろ過して尿をつくる
腎臓の代表的な働きが、血液をろ過して尿をつくることです。
血液には、体に必要な物質だけでなく、体内で生じた不要な物質なども含まれています。
腎臓では血液をろ過し、必要なものをできるだけ体内に残しながら、不要なものや余分な水分を尿として排出します。
この働きによって、体内の環境が保たれています。
体内の水分や電解質のバランスを調整する
腎臓は、体内の水分量やナトリウムなどの電解質のバランスを調整する役割も担っています。
水分を多く摂ったときには尿の量が増えるなど、体の状態に合わせて尿の濃さや量を調節しています。
血圧の調節に関わる
腎臓は血圧の調節にも関係しています。
体内の水分量やナトリウムの調節などを通じて、血圧を一定に保つために重要な役割を果たしています。
赤血球をつくる働きに関係する
腎臓では、赤血球の産生を促す「エリスロポエチン」というホルモンがつくられています。
そのため、腎臓の働きが低下すると、貧血との関連がみられることがあります。
ビタミンDの活性化に関わる
腎臓は、体内でビタミンDを働ける形にする過程にも関係しています。
ビタミンDはカルシウムの吸収などに関わるため、腎臓は骨やミネラルの代謝にも関係する重要な臓器です。
腎臓の状態を調べる主な検査
腎臓の状態を調べる方法には、尿検査や血液検査、画像検査などがあります。
どの検査を行うかは、健康診断なのか、何らかの症状があるのか、腎臓の病気が疑われているのかなどによって異なります。
尿検査
健康診断などでも行われる基本的な検査です。
尿に血液やたんぱく質などが含まれていないかを調べることで、腎臓や尿路の状態を確認する手がかりになります。
尿検査で異常が見つかった場合でも、それだけで特定の病気と判断できるわけではありません。
必要に応じて、再検査や血液検査、画像検査などが行われます。
血液検査
血液検査では、クレアチニンなどの数値を確認し、腎臓の働きを評価するために利用します。
腎臓の状態を確認する際には、eGFR(推算糸球体ろ過量)などが参考にされることもあります。
健康診断の結果で腎機能について指摘された場合は、数値だけで自己判断せず、医療機関で結果について相談することが大切です。
腹部超音波検査(エコー)
超音波を利用して、腎臓の大きさや形、周囲の状態などを画像で確認する検査です。
体の表面から超音波を当てて調べるため、画像検査の中では比較的身体への負担が少ない方法です。
腎臓の異常が疑われる場合や、健康診断などで必要と判断された場合に行われます。
CT検査
CT検査では、X線を利用して体の断面を撮影します。
腎臓の状態だけでなく、周囲の臓器との関係や病変の位置・大きさなどを詳しく調べることができます。
腎臓がんが疑われる場合には、腹部CTなどの画像検査が重要な役割を果たします。国立がん研究センターによると、腎細胞がんは腹部超音波検査やCT検査で見つかることが多く、確定診断にはCT検査が必要とされています。状況によってMRIや生検などが検討されることもあります。
なお、造影剤を使用する検査を行うかどうかは、腎機能やアレルギーなどの状態を考慮して医師が判断します。
MRI検査
MRIは、磁気と電波を利用して体の内部を画像化する検査です。
CTとは異なる特徴を持っており、腎臓や周辺組織の状態を詳しく確認するために利用されることがあります。
CT検査や超音波検査だけでは判断が難しい場合などに、必要に応じて行われます。
腎臓がんと腎臓の健康について
「腎臓の病気」と「腎臓がん」は同じものではありません。
腎臓がんは、腎臓の細胞ががん化する病気です。
腎臓がん(腎細胞がん)は、初期には症状がはっきりしないこともあり、健康診断や別の病気を調べるための画像検査などをきっかけに見つかる場合があります。
腎臓がんが疑われる場合には、超音波、CT、MRIなどの画像検査を組み合わせて詳しく調べます。
血液検査は、全身状態や腎臓の機能を確認するためにも行われます。必要に応じて生検などが検討されることもあります。
血尿、腰や脇腹の痛み、体の変化など気になる症状がある場合や、健康診断で異常を指摘された場合には、自己判断で様子をみるのではなく、医療機関に相談しましょう。
腎臓の健康を守るために心がけたいこと
腎臓は毎日働いている臓器だからこそ、日頃から生活習慣を整えることが大切です。
塩分の摂りすぎに注意する
食塩の摂りすぎは、血圧との関係から腎臓の健康を考えるうえでも注意したいポイントです。
濃い味付けを控える、加工食品や外食の利用が多い場合は表示を確認するなど、できるところから食生活を見直してみましょう。
バランスのよい食事を心がける
特定の食品だけを大量に食べるのではなく、主食・主菜・副菜などを組み合わせ、栄養バランスを意識することが基本です。
ただし、すでに腎臓の病気がある方の場合、塩分・たんぱく質・カリウム・水分などについて個別の調整が必要になることがあります。
腎臓病と診断されている場合は、自己流の食事制限を行わず、医師や管理栄養士の指導に従いましょう。
適度に体を動かす
無理のない範囲で体を動かす習慣をつくることも、健康管理の基本です。
ウォーキングなどの軽い運動から始め、自分の体調や体力に合わせて続けることを意識しましょう。
喫煙を避ける
喫煙はさまざまな生活習慣病との関係が知られており、健康全般を考えても避けたい習慣の一つです。
お酒は飲みすぎない
過度の飲酒は、健康を損なう原因になることがあります。
飲酒する場合も量や頻度に注意し、適量を心がけることが大切です。
健康診断を受ける
腎臓の病気は、初期には自覚症状が少ない場合があります。
そのため、健康診断などで尿検査や血液検査を受け、腎臓の状態を確認することは大切です。
検査結果に「尿たんぱく」「血尿」「クレアチニン」「eGFR」などについて指摘があった場合は、放置せず、必要に応じて医療機関で詳しく調べてもらいましょう。
腎臓の健康は日頃の生活から
腎臓は、血液をろ過して尿をつくるだけでなく、水分や電解質の調整、血圧、赤血球の産生、ビタミンDの活性化など、体の状態を維持するためにさまざまな役割を担っています。
腎臓の状態を確認するには、尿検査や血液検査に加えて、必要に応じて超音波、CT、MRIなどの検査が行われます。
また、日頃から塩分の摂りすぎに注意し、バランスのよい食事、適度な運動、禁煙、飲酒量への配慮など、基本的な生活習慣を整えることも大切です。
腎臓について気になる症状がある場合や、健康診断で異常を指摘された場合は、健康食品などだけで対応しようとせず、医療機関に相談しましょう。
※この記事は腎臓の健康に関する一般的な情報を紹介するもので、特定の病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。症状や検査結果については、医師などの専門家にご相談ください。