卵巣は、女性の生殖機能やホルモンバランスに関わる大切な器官です。卵子を育てて排卵するほか、女性ホルモンを分泌する役割も担っています。
一方で、卵巣に異常が生じても、初期には自覚症状が現れにくい場合があります。卵巣のしくみや働き、気をつけたい症状、主な検査方法について知っておきましょう。
卵巣のしくみと役割
卵巣は、子宮の左右に1つずつある小さな器官です。卵管とつながる位置にあり、卵子の成熟や排卵、女性ホルモンの分泌に関わっています。
卵子と排卵のしくみ
卵巣の中には、卵子のもととなる細胞を含む卵胞があります。月経周期に伴って卵胞が発育し、成熟した卵子が卵巣から放出されることを「排卵」といいます。
排卵された卵子は卵管に取り込まれ、受精が起こる場合には卵管内で精子と出会います。
女性ホルモンを分泌する働き
卵巣は、主にエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。
これらのホルモンは、月経周期や妊娠に関わるほか、骨の健康などにも関係しています。分泌量は年齢や月経周期によって変化し、閉経に向かう時期には大きく変動することがあります。
大きさと加齢による変化
卵巣の大きさには個人差があり、年齢やホルモンの状態などによっても変化します。閉経後には、卵巣が小さくなる傾向があります。
卵巣と卵管は、子宮に付属する器官として「子宮付属器」と呼ばれます。女性の健康について考えるうえで、それぞれの役割を知っておくことが大切です。
卵巣の異常と気をつけたい症状
卵巣に生じる病気には、卵巣嚢腫などの良性の病気や、卵巣がんなどの悪性腫瘍があります。症状や治療方法は病気の種類によって異なります。
症状が出にくい理由
卵巣は骨盤内の奥に位置しているため、異常が生じても初期には自覚症状が現れないことがあります。
特に卵巣がんは、初期には症状が乏しく、気づいたときには病気が進行している場合もあります。そのため、体調の変化を見逃さないことが重要です。
気をつけたい主な症状
卵巣やその周辺に異常がある場合、次のような症状が現れることがあります。
- 下腹部の痛みや違和感
- おなかの張りや膨満感
- ウエストがきつくなったと感じる
- 食欲が落ちる、すぐに満腹になる
- 頻尿や便秘
- 腹部が大きくなってきたように感じる
ただし、これらの症状は、卵巣の病気以外でも起こります。症状があるからといって、必ずしも卵巣がんであるとは限りません。
一方で、症状が続く場合や、普段と違う変化が気になる場合には、自己判断せず婦人科に相談しましょう。
卵巣の検査方法
卵巣の病気が疑われる場合には、症状や診察結果に応じて、いくつかの検査を組み合わせて診断を進めます。
問診と内診
まず、月経の状態、症状が始まった時期、痛みの有無、これまでの病歴などを確認します。
必要に応じて内診を行い、卵巣や子宮の周辺に腫れや異常がないかを調べます。ただし、診察だけですべての異常を判断できるわけではありません。
経腟超音波検査
超音波を利用して、卵巣や子宮の状態を画像で確認する検査です。卵巣の大きさや形、腫瘤の有無、内部の構造などを調べる際に用いられます。
卵巣に腫れや腫瘤が見つかった場合には、その特徴に応じて追加の検査を検討します。
CT検査・MRI検査
CT検査やMRI検査は、卵巣に見つかった腫瘤の状態や、周囲の臓器との関係などを詳しく調べるために用いられます。
これらの検査は、病気の種類や広がりを評価し、治療方針を検討する際にも役立ちます。
血液検査と腫瘍マーカー
症状や画像検査の結果に応じて、血液検査や腫瘍マーカーの測定を行うことがあります。
ただし、腫瘍マーカーの数値だけで卵巣がんの有無を確定することはできません。良性の病気などでも数値が上昇することがあり、反対に、がんがあっても上昇しない場合があります。
病理検査による診断
卵巣に腫瘤が見つかっても、画像検査だけで良性か悪性かを完全に判断できるとは限りません。
卵巣がんが疑われる場合には、手術などによって採取した組織を顕微鏡で調べる病理検査が、確定診断や組織型の判定に重要な役割を果たします。
実際にどのような検査を行うかは、疑われる病気や患者さんの状態によって異なります。
卵巣の健康を考えるために
日頃から自分の体調の変化を把握し、気になる症状があれば早めに医療機関へ相談することが大切です。
バランスのよい食事と適度な運動
健康を維持するためには、野菜、果物、豆類、魚などを取り入れたバランスのよい食事と、無理のない範囲での適度な運動を心がけましょう。
十分な睡眠や休養を確保することも、日々の健康管理につながります。
ただし、特定の食品やサプリメントを摂取すれば、卵巣の病気や卵巣がんを予防できると証明されているわけではありません。健康食品だけに頼らず、必要に応じて医療機関で相談することが重要です。
症状があるときは早めに婦人科へ
卵巣がんは初期症状が出にくいことから、気になる症状を放置しないことが大切です。
なお、症状のない一般の人を対象とした卵巣がんの検診については、子宮頸がん検診のように一律の定期検診が推奨されているわけではありません。
症状が続く場合や、家族歴などから不安がある場合には、婦人科で相談し、自分に合った検査や健康管理について確認しましょう。
まとめ
卵巣は、卵子の成熟や排卵、女性ホルモンの分泌を担う重要な器官です。卵巣の病気には自覚症状が現れにくいものもあるため、下腹部の痛みやおなかの張り、頻尿など、普段と異なる変化に注意することが大切です。
卵巣の異常が疑われる場合には、問診や内診、超音波検査、CT・MRI検査、血液検査などを組み合わせて診断を進めます。
日頃の健康管理を心がけるとともに、気になる症状がある場合は自己判断せず、婦人科の医師に相談しましょう。
※この記事は一般的な健康情報を提供するものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。