膵臓(すいぞう)は、胃の後ろ側にある細長い臓器です。普段はあまり意識することがないかもしれませんが、食べ物の消化を助けたり、血糖値の調節に関わるホルモンを分泌したりするなど、私たちの体にとって大切な働きをしています。
膵臓は体の奥にあるため、状態を確認するには血液検査や画像検査などを組み合わせて調べることがあります。
ここでは、膵臓の基本的なしくみや役割、膵臓の状態を調べる主な検査方法について、健康管理の基礎知識としてわかりやすく紹介します。
※この記事は膵臓に関する一般的な健康情報を紹介するもので、特定の病気の診断や治療を目的としたものではありません。気になる症状がある場合や検査結果について不安がある場合は、医療機関に相談してください。
膵臓(すい臓)のしくみ
膵臓は胃の後ろにある、長さ約20cmの細長い臓器です。右側は十二指腸につながり、左側は脾臓の近くに位置しています。
膵臓は大きく、
- 膵頭部(すいとうぶ)
- 膵体部(すいたいぶ)
- 膵尾部(すいたいぶ)
に分けられます。
膵臓の中には「膵管」という管が通っており、膵臓でつくられた膵液を十二指腸へ運ぶ役割があります。
膵臓には、大きく分けて「消化に関わる働き」と「血糖値の調節に関わる働き」があります。
膵臓の主な役割
消化を助ける膵液をつくる
膵臓から分泌される膵液には、食べ物に含まれる栄養素の消化を助ける消化酵素が含まれています。
膵液は膵管を通って十二指腸へ運ばれ、食べ物の消化を助けます。
このように、膵臓は胃や腸とともに、食べ物から栄養を取り込むために重要な役割を担っています。
血糖値の調節に関わるホルモンを分泌する
膵臓には、血糖値の調節に関わるインスリンなどのホルモンをつくり、血液中に分泌する働きもあります。
インスリンは血糖値を下げる方向に働く重要なホルモンです。
このため、膵臓は消化だけでなく、体内の血糖値を適切に保つうえでも重要な臓器といえます。
膵臓の健康に関係する生活習慣
膵臓の健康を考えるうえでは、日頃の生活習慣にも目を向けることが大切です。
特に、喫煙や過度の飲酒、肥満、糖尿病、慢性膵炎などは、膵臓の病気との関連が知られています。
毎日の生活では、
- バランスのよい食事を心がける
- 食べ過ぎや飲み過ぎを避ける
- 適度に体を動かす
- 喫煙している場合は禁煙を考える
- 定期的に健康診断を受ける
といった基本的な健康管理を意識しましょう。
ただし、膵臓の病気は生活習慣だけが原因で起こるものではありません。糖尿病や慢性膵炎などの病気、家族歴など、さまざまな要因が関係する場合があります。
膵臓の状態を調べる主な検査
膵臓の状態を調べるためには、血液検査や画像検査などが行われます。
どの検査を行うかは、症状や血液検査の結果、疑われる病気などによって異なります。
血液検査
血液検査では、アミラーゼやリパーゼなどの膵酵素を調べることがあります。
また、膵臓の病気が疑われる場合には、ほかの血液検査項目や腫瘍マーカーなどを確認することもあります。
ただし、血液検査の数値だけで膵臓の病気の有無を判断できるわけではありません。
腹部超音波検査(エコー検査)
腹部に検査用のゼリーを塗り、超音波を発するプローブを当てて、体の内部を画像として確認する検査です。
体への負担が比較的少なく、膵臓や周辺の臓器の状態を確認するために利用されます。
一方で、膵臓は胃や腸の奥にあるため、腸管ガスなどの影響によって膵臓の一部が見えにくいことがあります。
そのため、必要に応じてCTやMRIなど、別の画像検査が組み合わせられます。
CT検査
CT検査は、X線を使って体の断面を撮影し、膵臓や周囲の臓器を画像で確認する検査です。
膵臓の病気が疑われる場合には、造影剤を使用した造影CTが行われることもあります。
膵臓そのものだけでなく、周囲の組織や血管、リンパ節などの状態を確認するためにも利用されます。
MRI検査
MRI検査は、磁石の力と電波を利用して体の内部を画像化する検査です。
膵臓や周囲の組織をさまざまな方向から確認でき、膵管の状態を調べる際にも役立ちます。
CTとは異なる特徴を持つため、必要に応じて使い分けられます。
MRCP(MR胆管膵管撮影)
MRCPは、MRIを利用して胆管や膵管を画像化する検査です。
内視鏡を使わずに膵管や胆管の状態を確認できることが特徴です。
膵管の拡張や狭窄、膵のう胞などの状態を調べる際に利用されることがあります。
超音波内視鏡検査(EUS)
EUSは、先端に超音波装置が付いた内視鏡を口から入れ、胃や十二指腸の内側から膵臓を観察する検査です。
体の外から超音波を当てる通常の腹部超音波検査よりも膵臓に近い位置から観察できるため、膵臓の詳しい画像を得ることができます。
必要に応じて、EUSを利用して病変の組織や細胞を採取する検査が行われることもあります。
ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)
ERCPは、内視鏡を口から十二指腸まで進め、膵管や胆管に造影剤を入れてX線で確認する検査です。
膵管や胆管の状態を詳しく調べる必要がある場合などに行われます。
検査には合併症が起こる可能性もあるため、必要性を医師が判断したうえで実施されます。
膵臓の健康を守るために
膵臓は体の奥にあるため、日常生活の中で状態を自覚しにくい臓器の一つです。
腹痛、食欲不振、腹部の張り、背中や腰の痛み、黄疸など、気になる症状が続く場合には、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関に相談することが大切です。
また、糖尿病や慢性膵炎などの病気がある場合や、膵臓について医師から指摘を受けている場合には、定期的な検査を受けることも重要です。
膵臓の健康を考えるときは、特定の食品や健康食品だけに頼るのではなく、バランスのよい食生活、適度な運動、禁煙・節酒、十分な休養など、日々の生活習慣を総合的に見直すことを基本にしましょう。
まとめ
膵臓は、消化を助ける膵液を分泌するとともに、インスリンなどのホルモンによって血糖値の調節にも関わる重要な臓器です。
膵臓の状態を調べる検査には、血液検査、腹部超音波検査、CT、MRI、MRCP、超音波内視鏡検査(EUS)、ERCPなどがあります。
膵臓は体の奥にあるため、異常があっても気づきにくい場合があります。気になる症状や検査結果があるときは、早めに医療機関へ相談しましょう。
毎日の食事や運動、喫煙・飲酒などの生活習慣を見直し、健康診断などを活用しながら、自分の体の状態を知っておくことが健康管理につながります。
※この記事は膵臓に関する一般的な健康情報を紹介するもので、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。症状がある場合や治療中の場合は、医師などの専門家にご相談ください。