網膜色素変性症とは、網膜に生じる遺伝性の疾患群で、夜盲や視野狭窄、視力低下などの視機能の変化がみられることがあります。症状の現れ方や進行には個人差があります。
フコイダン健康堂スタッフの田中です。
数か月前から、夜中に起きると、右目がほとんど見えていないことに気が付きました💦
昔から鳥目(とりめ)で、明るいところから急に暗いところに行くと見えなくなることはあったのですが、父が「緑内障(りょくないしょう)」ということもあり、心配になって昨日眼科を受診してきました。
今回は、目の病気「網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)」について紹介します。
「暗い場所で見えにくくなった」「以前より夜道を歩くのが怖くなった」「人や物にぶつかることが増えた」――。
このような変化がある場合、目の病気が関係している可能性があります。
その一つが網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)です。
網膜色素変性症は、光を感じる網膜に異常が生じ、徐々に視機能に変化が現れる遺伝性の病気です。日本では指定難病の一つに位置付けられています。
この記事では、網膜色素変性症について、症状や原因、検査、治療、遺伝との関係などをわかりやすく解説します。
※この記事は一般的な医学情報を紹介するものであり、診断や治療を目的としたものではありません。目の見え方に変化を感じた場合は、眼科を受診してください。
網膜色素変性症とは?
網膜色素変性症は、眼球の内側にある網膜に異常が生じる遺伝性の疾患群です。
網膜は、目に入ってきた光を受け取り、その情報を神経信号として脳に伝える重要な組織です。
網膜色素変性症では、主に光を感じる視細胞などに変性が生じ、時間をかけて視機能に変化が現れます。
日本眼科学会によると、代表的な症状として「夜盲」「視野狭窄」「視力低下」が挙げられています。
また、病気の進み方や症状が現れる順番には個人差があります。数年、あるいは数十年という長い時間をかけて進行する場合もあります。
網膜色素変性症の主な症状
網膜色素変性症では、主に次のような症状がみられます。
1.暗いところで見えにくい「夜盲」
初期に気づきやすい症状の一つが夜盲(やもう)です。
夜盲とは、暗い場所や夜間などで物が見えにくくなる状態です。
例えば、
- 暗い場所で人の顔が見えにくい
- 夜道を歩くと周囲が見えにくい
- 映画館など暗い場所で困る
- 明るい場所から暗い場所へ移動すると見えにくい
などの変化として気づくことがあります。
ただし、暗い場所で見えにくいという症状だけで網膜色素変性症と判断することはできません。
2.視野が狭くなる
病気の進行に伴って、見える範囲が狭くなる視野狭窄が現れることがあります。
本人は正面を見ていると問題なく感じても、周辺が見えにくくなることで、
- 人や物にぶつかる
- 段差に気づきにくい
- 横から来る人や自転車に気づきにくい
- 歩行中に不安を感じる
といった変化につながる場合があります。
3.視力が低下する
網膜の変化が進むと、視力にも影響が出ることがあります。
ただし、網膜色素変性症では必ず最初から視力が低下するとは限りません。
症状の現れ方には個人差があるため、視力だけで判断することはできません。
4.まぶしさを感じることもある
人によっては、明るい場所でまぶしさを感じることがあります。
症状の種類や程度には個人差があります。
網膜色素変性症の原因は?
網膜色素変性症は、遺伝子の異常が関係する遺伝性疾患です。
ただし、遺伝の仕方には複数のパターンがあり、同じ網膜色素変性症でも家族歴や遺伝形式は一様ではありません。
そのため、
「家族に網膜色素変性症の人がいないから発症しない」
とは限りません。
一方で、家族に同じ病気の人がいる場合には、遺伝について専門医に相談することが重要です。
網膜色素変性症は遺伝する?
網膜色素変性症には遺伝性があります。
しかし、遺伝形式は一つではなく、家族の中での病気の現れ方もさまざまです。
そのため、「親が網膜色素変性症なら必ず子どもも発症する」といった単純な判断はできません。
家族に網膜色素変性症の方がいる場合や、自分の症状について遺伝との関係を詳しく知りたい場合には、眼科や遺伝に詳しい医療機関への相談が適しています。
網膜色素変性症の検査
網膜色素変性症が疑われる場合には、眼科で複数の検査を組み合わせて調べます。
代表的な検査には、
- 眼底検査
- 眼底写真
- 視野検査
- 網膜電図(ERG)
- 光干渉断層計(OCT)など
があります。
日本眼科学会でも、眼底検査や視野検査などが重要な検査として紹介されています。
特に視野検査は、どの程度の範囲が見えているかを確認するために重要です。
検査内容は症状や医療機関によって異なります。
網膜色素変性症の治療
網膜色素変性症は、現時点ではすべての患者さんに共通して病気そのものを元の状態に戻す治療が確立しているわけではありません。
そのため、現在の診療では、患者さんの状態を確認しながら視機能を評価し、必要に応じて生活上の支援や視覚補助などを検討することが重要になります。
また、網膜色素変性症の中には、原因となる遺伝子や病型によって研究・治療開発が進められているものもあります。
治療や研究の状況は変化する可能性があるため、最新の情報については眼科専門医に確認することが大切です。
指定難病に指定されています
網膜色素変性症は、厚生労働省が定める指定難病90です。
厚生労働省の2026年4月時点の指定難病一覧にも、網膜色素変性症が「告示番号90」として掲載されています。
ただし、指定難病であることと、すべての患者さんが自動的に医療費助成の対象になることは同じではありません。
医療費助成には一定の認定基準があります。
利用できる制度については、お住まいの地域の保健所や都道府県・指定都市の窓口などで確認することができます。
網膜色素変性症と日常生活
網膜色素変性症では、視野や暗所での見え方に変化が生じることがあります。
そのため、生活の中では、
- 暗い場所では十分に注意する
- 室内の照明を工夫する
- 段差や障害物を確認する
- 必要に応じて視覚補助具を利用する
- 視力・視野の変化を定期的に確認する
など、現在の見え方に合わせた環境づくりが大切です。
「以前できていたことが難しくなった」と感じた場合は、無理に我慢するのではなく、眼科や視覚障害に関する支援機関に相談することも選択肢になります。
「夜に見えにくい」だけで網膜色素変性症とは限らない
夜間に見えにくい、目が疲れる、視野が狭く感じるなどの症状には、さまざまな原因が考えられます。
したがって、
「夜盲がある=網膜色素変性症」
とは限りません。
一方で、以前と比べて明らかに見え方が変化している場合は、自己判断せず眼科で検査を受けることが重要です。
早めに相談することで、自分の目の状態を把握し、必要な生活上の工夫や支援につなげることができます。
網膜色素変性症についてよくある質問
Q. 網膜色素変性症はどんな病気ですか?
網膜に異常が生じ、視機能に徐々に変化が現れる遺伝性の疾患群です。代表的な症状として、夜盲、視野狭窄、視力低下などがあります。
Q. 網膜色素変性症は失明する病気ですか?
進行の程度や速度には大きな個人差があります。
そのため、一律に「何歳で見えなくなる」と予測することはできません。
現在の見え方や病状については、定期的な眼科検査で確認することが大切です。
Q. 網膜色素変性症は治りますか?
現在、すべての網膜色素変性症に共通する根治的な治療法が確立しているわけではありません。
一方で、病型や遺伝子によって研究・治療開発が進められています。最新の治療については専門医への相談をおすすめします。
Q. 網膜色素変性症は遺伝しますか?
遺伝性の疾患ですが、遺伝形式は複数あります。
家族に患者さんがいる場合は、遺伝について専門医に相談するとよいでしょう。
Q. 網膜色素変性症は指定難病ですか?
はい。網膜色素変性症は厚生労働省の指定難病90に位置付けられています。
ただし、医療費助成の対象となるためには一定の基準があります。
まとめ
網膜色素変性症は、網膜に異常が生じ、時間をかけて視機能に変化が現れる遺伝性の疾患群です。
代表的な症状には、
- 暗い場所で見えにくい
- 視野が狭くなる
- 視力が低下する
- まぶしさを感じる
などがあります。
症状の現れ方や進行速度には個人差があります。
また、網膜色素変性症は指定難病の一つであり、診断には眼底検査、視野検査、網膜電図など複数の検査が用いられます。
「以前より暗い場所で見えにくくなった」「物にぶつかることが増えた」「視野が狭くなったように感じる」など、見え方に変化がある場合は、自己判断せず眼科で相談することが大切です。
なお、この記事は網膜色素変性症について一般的な情報を整理したものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。
参考情報
・厚生労働省「指定難病」
・日本眼科学会「網膜色素変性」
・日本眼科学会「網膜色素変性診療ガイドライン2026」



