子宮は、骨盤の中にある筋肉でできた袋状の臓器です。子宮にできるがんには、子宮の入り口にあたる子宮頸部にできる「子宮頸がん」と、子宮の上部にあたる子宮体部にできる「子宮体がん」があります。
子宮体がんの多くは、子宮の内側を覆う子宮内膜から発生します。そのため、「子宮内膜がん」と呼ばれることもあります。
子宮体がんについて知っておくことは、体調の変化に気づき、必要なときに医療機関へ相談するために大切です。ここでは、子宮体部の構造や主な検査方法、不正出血がある場合の受診について解説します。
子宮体部のしくみ(構造と名称)
子宮は、洋なしを逆さにしたような形をした筋肉性の臓器です。成人女性では鶏卵ほどの大きさが目安とされ、膀胱と直腸の間に位置しています。
子宮の上部にあたる袋状の部分を「子宮体部」、腟につながる下部を「子宮頸部」といいます。
子宮体部の内側は「子宮内膜」という組織で覆われています。子宮体がんの多くは、この子宮内膜から発生します。
子宮体がんと子宮頸がんは、発生する場所や検査方法などが異なります。それぞれの特徴を理解し、気になる症状がある場合は婦人科に相談しましょう。
子宮体がんの検査方法と診断
子宮体がんが疑われる場合は、症状や診察所見などに応じて検査を行います。検査の種類や順序は、医師が個々の状況を踏まえて判断します。
子宮内膜の細胞診
細胞診は、子宮内に細いチューブやブラシ状の器具を入れ、子宮内膜の細胞を採取して顕微鏡で調べる検査です。
細胞の形などを確認し、がんの可能性がある変化がないかを調べます。
検査時には、チクッとした痛みや不快感を感じることがあります。また、検査後に数日間、少量の出血や茶色っぽいおりものが見られる場合があります。
痛みや不安がある場合は、検査前に医師や看護師に伝えておきましょう。
組織診による詳しい検査
細胞診で異常が見つかった場合や、診察で子宮体がんが疑われる場合には、組織診を行うことがあります。
組織診では、子宮内膜の組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。がんの有無を確認し、がんと診断された場合には、組織の種類や悪性度などを評価するために役立ちます。
採取する組織の量や検査方法によっては、痛みを伴うことがあります。必要に応じて麻酔を使用する場合もあります。
経腟超音波検査(エコー検査)
経腟超音波検査は、腟から超音波を出す器具を入れ、子宮やその周辺の状態を画像で確認する検査です。
子宮内膜の状態や厚さ、子宮の形などを調べる際に用いられます。
ただし、超音波検査だけで子宮体がんの有無を確定できるわけではありません。必要に応じて細胞診や組織診などを組み合わせて診断します。
CT・MRI検査による広がりの確認
子宮体がんと診断された場合は、がんの位置や広がりを調べるために、CT検査やMRI検査などを行うことがあります。
CT検査はX線を利用して体内を画像化する検査です。MRI検査は磁気を利用し、臓器や組織の状態を詳しく調べます。
これらの検査は、がんが子宮の筋肉や周囲の組織にどの程度広がっているか、リンパ節やほかの臓器に転移している可能性があるかなどを評価するために用いられます。
必要な検査は、診断の状況や患者さんの状態によって異なります。
不正出血がある場合は早めに婦人科へ
子宮体がんでよく見られる症状の一つが、不正出血です。
特に、次のような変化がある場合は注意が必要です。
- 月経以外の時期に出血がある
- 閉経後に出血がある
- おりものに血が混じる、茶色っぽいおりものが続く
- 下腹部の痛みなど、普段と異なる症状がある
出血がごく少量であっても、子宮体がんなどの病気が原因となっている可能性があります。一方で、出血にはさまざまな原因があり、症状だけでがんと判断することはできません。
気になる症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに婦人科を受診して相談しましょう。
子宮体がんの検診について知っておきたいこと
子宮頸がんには、国が推奨する検診があります。一方、子宮体がんについては、現在、国の指針で定められた一般向けのがん検診はありません。
そのため、不正出血などの症状がある場合には、通常の検診を待つのではなく、医療機関で診察を受けることが大切です。
症状がなくても、子宮体がんのリスクや検査について心配なことがある場合は、年齢や健康状態などに応じて医師に相談してください。
日頃から自分の体の変化に目を向けましょう
子宮体がんについて知っておくことは、体の変化に気づき、適切なタイミングで医療機関へ相談するために役立ちます。
特に、不正出血や閉経後の出血など、いつもと違う症状がある場合は、早めに婦人科を受診することが大切です。
検査について不安や疑問がある場合も、遠慮せず医師や看護師に相談しましょう。
※この記事は一般的な健康情報の提供を目的としています。診断や治療に代わるものではありません。症状や検査については、医療機関でご相談ください。
参考情報:国立がん研究センター「がん情報サービス」