肝嚢胞感染症とは
6月10日に、日銀の植田総裁が、肝嚢胞感染症のため入院された、という記事がありましたね。
肝嚢胞感染症(かんのうほうかんせんしょう)とは、肝臓にできた「肝嚢胞(かんのうほう)」の内部に細菌が入り込み、炎症や感染を起こした状態です。
肝嚢胞そのものは比較的よく見られる良性の病変で、多くの場合は無症状のまま経過します。しかし、まれに感染を起こすと高熱や腹痛などの症状が現れ、適切な治療が必要になります。
特に高齢者や糖尿病患者、免疫力が低下している方では注意が必要です。
肝嚢胞とは
肝嚢胞は、肝臓の中にできる液体がたまった袋状の構造です。
健康診断や人間ドックの超音波検査、CT検査などで偶然発見されることが多く、日本では珍しい病気ではありません。
通常は症状がなく、治療も不要なケースがほとんどです。しかし、嚢胞が大きくなったり感染を起こしたりすると問題になることがあります。
肝嚢胞感染症の主な症状
感染が起こると次のような症状が現れることがあります。
発熱
38℃以上の高熱が続くことがあります。抗菌薬を使用しても改善しにくいケースもあります。
右上腹部の痛み
肝臓は右上腹部にあるため、感染した嚢胞の周囲に痛みや圧痛が生じることがあります。
全身のだるさ
感染による炎症反応によって、強い倦怠感や食欲低下がみられることがあります。
悪寒や震え
細菌感染に伴い、寒気や震えを感じることがあります。
肝嚢胞感染症の原因
感染経路は必ずしも明らかではありませんが、主に次のような原因が考えられています。
- 血液を介した細菌感染
- 胆道からの細菌侵入
- 消化管からの細菌移行
- 医療処置後の感染
代表的な原因菌としては、大腸菌やクレブシエラ属菌などの腸内細菌が知られています。
どのような人がなりやすい?
以下のような方では発症リスクが高くなる可能性があります。
- 高齢者
- 糖尿病患者
- 免疫抑制剤を使用している人
- 多発性肝嚢胞のある人
- 腎嚢胞を伴う遺伝性疾患の患者
ただし、健康な人でも発症する可能性はあります。
診断方法
肝嚢胞感染症は症状だけでは診断が難しいため、画像検査や血液検査を組み合わせて診断します。
血液検査
炎症反応を示すCRPや白血球数の上昇を確認します。
CT検査
感染した嚢胞では壁が厚くなったり、内部に変化が見られたりします。
MRI検査
CTでは判断が難しい場合に追加されることがあります。
嚢胞内容液の検査
必要に応じて嚢胞内の液体を採取し、細菌培養検査を行います。
肝嚢胞感染症の治療法
抗菌薬治療
まずは原因菌を想定した抗菌薬治療が行われます。
軽症の場合は抗菌薬のみで改善することもあります。
経皮的ドレナージ
感染した液体が大量にたまっている場合には、皮膚から針やカテーテルを挿入して排液する治療が行われます。
この処置によって症状が大きく改善することがあります。
外科的治療
感染を繰り返す場合やドレナージで十分な効果が得られない場合には、手術が検討されることがあります。
放置するとどうなる?
感染が進行すると敗血症などの重篤な状態につながる可能性があります。
特に高熱が続く場合や原因不明の炎症反応がみられる場合には、早めに医療機関を受診することが重要です。
予防する方法はある?
肝嚢胞感染症を完全に予防する方法は確立されていませんが、次のような健康管理が役立つと考えられています。
- 糖尿病の適切な管理
- 定期的な健康診断
- 発熱時の早期受診
- 慢性的な感染症の治療
肝嚢胞があると指摘されている方は、体調の変化に注意し、異常を感じたら早めに専門医へ相談しましょう。
まとめ
肝嚢胞感染症は、通常は無症状で経過する肝嚢胞に細菌感染が起こることで発症する病気です。高熱や右上腹部痛、倦怠感などの症状が現れ、重症化すると敗血症につながることもあります。
早期発見と適切な抗菌薬治療、必要に応じたドレナージ治療によって改善が期待できます。肝嚢胞を指摘されている方で発熱や腹痛が続く場合は、自己判断せず医療機関を受診することが大切です。



