◆肺とは
肺は、胸の左右両側に心臓をはさみこむようにあって、呼吸をつかさどっているとても大きな臓器です。
右肺は上・中・下と3つの肺葉に、左肺は上、下と2つの肺葉に分かれています。
気管は、喉頭から肺へと続く管で、気管が枝分かれした空気の通り道を気管支といいます。
肺の中でさらに末端まで20回ほど枝分かれを繰り返して末端の太さは直径0.1mmほどになります。
<肺胞>
気管支の先端にある袋状の組織を肺胞といいます。左右の肺のすbての肺胞の表面を広げると、面積は約60uにもなります。表面は毛細血管がとり巻いています。
肺の役割
口や鼻から入った空気は、のどや気管を通り、気管支に入ります。
気管支はさらに枝分かれして、肺胞にいたります。
肺胞では酵素を取り入れ、二酸化炭素を排出します。このはたらきを「ガス交換」といいます。
<肺の健康に害を及ぼす危険因子>
たばこ、自動車の排気ガスなどの大気汚染、石綿粉塵(アスベスト)などの職場汚染
たばこの煙にはさまざまな発がん性物質がふくまれています。たばこを吸わない人でも、その煙(副流煙)を吸うだけで肺がんのリスクが高まります。
アスベストとは、断熱材や防音材などにつかわれていた鉱物の一種です。現在は製造などが禁止されています。
肺の検査
診断や検査の基本は胸部単純X線撮影ですが、早期診断や精密検査にはCT検査が欠かせません。
<スクリーニング>
胸部X線、胸部CT→喀痰検査、マーカー測定
<確定診断>
気管支ファイバースコープなどによる生検
【気管支鏡検査】
気管支鏡検査=口から肺(気管支)の中に気管支鏡(内視鏡)を挿入し、気管支の内部や状態を観察することができます。異常があれば細胞を採取し、顕微鏡で調べます。気管支鏡の届かない肺野部に異常がある場合でも、気管支鏡の先から針や鉗子(かんし)などを送り込んで細胞や組織を採取できます。
検査中は麻酔がかかっているので、痛みはほとんど感じません。
【CTガイド下生検】
気管支鏡検査が難しいものには、CTで確認しながら皮膚から目的の箇所まで針を刺し、そこの細胞を取ってくるCTガイド生検が行われます。この検査は基本的に短期入院が必要です。
【蛍光気管支鏡検査】
より精度の高い検査です。この検査は、正常な細胞が、ある特定の波長の光に反応して光るという性質を利用しています。
気管支鏡の先に特定の波長の光を発する装置をつけて、気管支などの内部に照射すると、正常な組織は緑色に光りますが、異常な組織は光に反応せず黒っぽく見えます。
早期発見が期待できますが、受けられる医療機関が少ないです。
40歳以上の人は、胸部間接X線検査を毎年受ける必要があります。
また、要精検といわれた場合は、至急専門病院を受診しましょう。
喫煙本数の多い人や、多量の粉塵を吸入する職場で働く人は、年に2回ほどの検診が必要です。重喫煙者は、定期的な喀痰検査が欠かせません。
自治体や企業が行っている肺がん検診は、「胸部X線検査」や「喀痰検査」が一般的です。検査機関によっては「CT検査」を行うところもあります。この両方の検査を受けるようにしましょう。
・せきやたんが続く
・発熱、息苦しさ、胸の痛みがある
・たばこを吸う
・身近にたばこを吸う人がいる
・アスベストの吸入歴がある
・血痰が出た
上記にあてはまるものはありませんか?該当するものがあるときには、必ず専門医(呼吸器内科・呼吸器外科)を受診しましょう。
生活の工夫(複式呼吸)
<複式呼吸の練習法>
あおむけに寝て、鼻からゆっくりと息を吸い込みます。このときはおなかが膨らむように息を吸い込みます。
次に口をすぼめてゆっくりと息を吐きます。このとき、お腹をへこませるようにします。
なれたら座って練習しましょう。
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体のしくみと健康な生活のためにできること