脳は人格の源であり、体のすべてのはたらきを調節するきわめて重要な臓器です。
よくいわれるように豆腐のようにやわらかい臓器ですから、頭蓋骨とかたい膜(硬膜)、それに水(髄液)を入れたくも膜に包まれて、たいせつに保護されています。
さらに、脳の真ん中に、水の入った部屋(脳室)があります。
ここでは髄液がつくられますが、同時に脳を守るクッションの役割もはたしています。
また、右と左の脳(大脳半球)および大脳と小脳は、硬膜でできたひだにより仕切られています。
脳は他のどの臓器よりも多くの酸素や栄養を必要とし、これらを運ぶために血管が網の目のように張りめぐらされています。
<脳の付属組織>
この脳からは、全身のあちこちに命令を出したり、情報を集めるために、たくさんの神経が出ています。
このなかでいちばん大きな神経組織は脊髄(せきずい)です。
そのほか、目に通じる神経(視神経)、耳に通じる神経(聴神経)など、左右に12対の神経が脳から出ています。
また、特殊なものとして、全身のホルモンを分泌する臓器のすべてをホルモンによってコントロールする下垂体が、脳の底面にあります。
これは副鼻腔内に飛び出した小さいくぼみ(トルコ鞍)のなかにおさまっています。
脳のどの場所が、どのような機能をしているかが詳しく解明されているので、局所で起こっている状態を正確に把握すると、脳のどこに障害があるのかを診断することができます。